自民党政治業者でも論破(?)できる相手

 安倍首相が、新聞記者の問いかけをに逆質問をして黙らせた、という記事を見かけました。さらに、それに対して、毎日新聞が分析記事(?)を書いていました。何でも、支持率急落の安倍首相が、内閣支持率の続落で、首相は「どうせ落ちるなら、やりたいことをやる」(首相周辺)という心境になっているとのことです。
 支持されなくなると、国民の意思など無視してやりたいことをやろうとする、という時点で、彼の頭の中に「民主政治」という概念がないことがよくわかります。そんな感覚で、企てている憲法改悪が、ほとんどの国民にとって、百害あって一利ない事があらためてよく分かります。もっとも、該当の分析記事にはそのような観点はどこにもありませんが・・・。

 ところで、この記事の枕になっている、「首相と新聞記者のやりとり」はかなり奇妙なものです。記者氏が、「公務員改革」を行う必要性および、国民にとってのメリットの有無を尋ねると、首相が「あなたは必要だと思いますか?」だの「公務員改革は国民の声だと思いませんか?」などと「逆質問」。すると、記者がいずれも、「はい」と返事し、それに満足した首相が、「なら質問しないでください」と論破(?)する、といったものです。
 「国民が公務員改革を望んでいる」ということで首相と記者氏は合意しています。しかし、本当にそんな事をして、国民にとって何かいいことがあるのでしょうか。過去に何度か書きましたが、この類の「公務員批判」は、私企業で低賃金・長時間働かされる国民の不満を、根源からそらすために、自民党政府と商業マスコミが結託して繰り広げている「分断支配」の一環です。その演出者たちが、「公務員改革は国民の望み」などと言っているのですから、呆れざるを得ません。
 ちなみに、現在、「天下り問題」の目先をそらせつつ、別の利権を生むための「新・人材バンク」なるものの構想が進められています。言うまでもないことですが、これは自民党政府が考えたものであり、「国民の望み」からきたものではありません。

 それにしても、この会話、それ以前に、筋が通っていません。具体的な事実である「国民のメリット」を尋ねたら、「国民が望んでいると思いませんか?」などと「風評」で回答しているわけです。
 「思いこみ」と「客観的証拠」混同して話している、一連の「従軍慰安婦」発言から分かるように、安倍首相をはじめとする自民党政府高官の論法には説得力というものがまるでありません。
 そんな政治業者にも「論破」できる相手がいる、という事を宣伝するために、わざわざ商業マスコミが「斬られ役」を買って出たのではとすら思えます。そう言えば、現在、日本最大の部数を自慢している新聞社の最高権力者は自民党の政治家に取り入ることによって今の地位を得たと聞きます。この記者氏も、そのような目的で「論破」されたのだろうか、などと思わされた、意味不明の「論争」並びに「解説記事」でした。