自衛隊国民監視に見る閣僚とマスコミ

 自衛隊が、国民の反戦活動などを調査していた、という内部文章の存在が発覚しました。
 それを受けた防衛省はイラク派遣の反対運動が高まっていた時期で、対応を考えるのが目的とあたかも当然の事であるかのような談話をしています。ちなみに、年金や消費税に関する集会なども「調査」の対象となっていたとのこと。それらも「対応を考える目的」がある行為だという事なのでしょう。
 今更ながら、「軍事力は国民を守るためのもの」という宣伝がいかに事実とかけ離れているかがよく分かります。

 そのような中、自民党政府の談話は、この「調査」を当然視するものばかりです。その中でも際だっているのは、久間防衛相のマスコミなどでもパチパチ撮っている。取材は良くて自衛隊は駄目だという法律の根拠はなく、デモや抗議行動の風景を撮ることは違法ではないという談話でしょう。
 この報道は産経新聞に載っていたのですが、発言を何の論評もなくそのまま載せています。さらに、読売新聞もそうなのですが、サイトを見てもこの事件に関する記事は「些細なニュース」として扱われています。
 自衛隊が反戦運動や年金問題の集会を「調査」するのを、自分たちの「取材」と一緒くたにしているのです。にも関わらず、それに対する批判は一切ありません。それどころか、大した問題でないかのように報じているわけです。
 この事から考えると、防衛相が言う「マスコミの取材も自衛隊の『調査』」も同じという考えをこれらの新聞社は共有していると言わざるをえません。とんだ「社会の公器」ぶりです。

 反戦運動をしたり年金問題を批判する人たちへの「対応」を考える軍隊と、それに迎合する報道という組み合わせは、70年前と何ら変わりません。その事を改めて確認することができました。
 当時の「大本営発表」たれ流しや、紙面を通じての「国民への訓辞」はいずれも、国民をより不幸にするためのものでした。本質が当時と同じである以上、現在の紙面に書かれている事も、当時と同様の結果を国民にもたらすものであると考えたほうがよさそうです。

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