役に立ちえない「労働相談」

 野田首相のお膝元である、船橋市薬園台に後援会事務所があります。そこには、首相・その弟・側近と思われる人の三人が看板を出しています。
 そして、それと並んで連合千葉が看板を並べていました。そこには、フリーダイヤルとともに、「なんでも無料労働相談」と書かれています。
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 この看板一枚だけなら、労働者にとって有難いサービスのように見えます。しかしながら、この写真を見て、「そうか、ここに電話をすれば、労働で困っている事に親身に相談に乗ってもらえるに違いない」と思う人はいるのでしょうか。

 その「労働相談看板」と並んで自分の看板を出している野田首相が、先日、国会で答弁を行いました。質問の内容は、NECと日本IBMが行った、過酷な労働者いじめに関するものでした。
 それに対する、野田首相の対応は、明らかな違法行為を具体的に指摘された時にやっと「あってはならない」と言ったくらいでした。それ以外は、「個別のことはお話できません」という答弁だの、係争中だという理由で答弁を避ける、などというものでした。
 この対応を見れば、この首相が、会社と労働者のどちらの立場に立っているかは明確です。
 そんな人物の看板と並んでいる「なんでも無料労働相談」など、かけるだけ時間の無駄と考えるのが普通でしょう。深刻な問題を訴えても「個別の事案にはお答えできない」などと無下に応対されてもおかしくありません。

 実際、連合のやっている事を見ると、労働者の利益より経営者の利益を優先していると思わざるをえない事が多々あります。8月の三党合意による消費税増税法案可決についても、好意的な態度を取っていました。
 特に、電力会社系の労働組合などは、主張が完全に経営者と一致しています。その一方で、福島第一原発での過酷労働を放置しているわけです。ここまでくると、何で「労働組合」と名乗っているのだろうか、とまで思えてきます。
 この、労働者に対して冷たい答弁をした首相の看板と仲良く並んでいる連合の看板は、そのような現状の象徴とも言えるな、と思いまいた。