「ニート」を作る政策

 経済労働白書に「ニート(Not in Education,Employment or Training)の略」という人の数が出ていました。なんでも「職探しも勉強も結婚もしていない若者」の数だそうです。当然、そのような無収入層が増えれば、消費などにも響き、経済にも悪影響をおよぼす、と「白書」では問題視しています。
 この定義を見ると、いかにも「やる気のない若者」という感じです。しかし、その実態はどう認識すべきでしょうかか。たとえば、就職したけれど、会社にこき使われて心身の調子を崩し、退職を余儀なくされて現在休養中、という人なども、上記の定義をみるとその「ニート」に入りそうです。
 さすがに、「フリーター」の増加が目立ちだした当初のように「若者の職業意識が・・・」などと、一方的に「若者が悪い」と決め付ける評価は減っています。元記事のように、「若者の厳しい雇用情勢を反映して」など、企業側の意識の問題にも触れるようにはなっています。しかし、有効求人倍率の全国平均が1を下回っているにも関わらず、「職探しができない」ではなく、「職探しをしない」という表現をしています。結局、「若者に問題がある」という観点が基本なのでしょう。
 もちろん、「若者の意識」という要因が全く無いとは思いません。とはいえ、それよりむしろ、実際、社員一人あたりの労働量を増やしたり、アルバイトや派遣の比率を増やすなどの企業(役所もそうみたいですが)の「リストラ」に代表される労働戦略が、このような「フリーター」「ニート」の増加を生んでいると思うのですが。
 企業はこれからも「人数を絞った正社員はこき使い、汎用的な作業は派遣やバイトなど、いつでも切り捨てられる労働力でまかなう」という雇用方策を続けそうですし、政府もそれを後押しし続けています。それが変わらない限り、このような問題は悪化する事はあっても、改善する事はないと思っています。

「ニート」を作る政策」への2件のフィードバック

  1. こんばんは
    失業率は5%代ということになっていますが、この記事にあるような数値が失業率に換算され、かつ、「男性の国民年金第三号被保険者」も換算すると、まず間違いなく失業率は8%代になると思います。
    それから、「若者の意識」をいいたいなら、まずその対象となる若者の有効求人倍率を挙げた上で論じてもらいたいですよね。
    日経にしろ読売にしろ、経営者や政府の代弁者にすぎないので、私たちは注意して新聞を読まなくちゃ、ですよね。

  2. いつも有難うございます。
    本当に、「失業率」という数字の算出基準は意味不明ですね。
    あと、商業マスコミに対する解釈もおっしゃる通りだと思います。
    現状のような「若者の労働環境のさらなる悪化」が続けば、経営側も一時的には人件費節減で儲かるとは思いますが、記事が指摘しているように、長期的には経営側・政府・商業マスコミも困るはずです。にもかかわらず、「被害者」の若者に批判的な記事を書くばかりで、経営側・政府が主導になって行えるような抜本的な解決策を示しません。
    短期的な収益に反する記事は書けないのか、それとも解決策が見えないのか、いずれにせよ、困ったものです。

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