政権選択?

 大手マスコミを筆頭に、色々な所で、今回の選挙を「政権選択」と定義づけしている論調を見かけます。確かに、「誰が政治を行うか」という事のみを考えれば、そうなるのかもしれません。しかし、「どのような政治を行うか」という事を考えると、果たして今回の選挙の意義は「政権選択」になるのでしょうか。
 「どのような政治を」という点から考えると、現在の与党である二つの政党と、最大野党は似通いすぎています。経済政策にしろ、「安全保障」にしろ、本質的な違いを感じるのは難しいでしょう。だいたい、「自民党の公認が取れなかったから民主党で出た」などという候補者すら存在するのですから、本質的な違いなど出しようがありません。

 10年ちょっと前に、「佐川マネー」などで自民党政治に対する批判が高まった時に、「非自民連立政権」が誕生しました。しかし、その結果としてもたらされたものは、「企業献金を維持しながら、税金からも政党に金がつぎ込まれる」という「政治資金改正」と、自民党のような利益誘導型の大政党に最も有利となる「小選挙区を軸とした選挙制度」でした。そしてその結果、議席数の多寡にかかわらず、「9条改憲」を始め、自民党の目指しているものが、着実かつ急速に進むようになっています。
 このような過去を見る限り、「政権選択」というのは見かけほど重要ではないように思えます
 「誰が政治を行うか」だけ考えれば、「勝った負けた」は自民党(+公明党)と民主党の議席数のどちらが多いか、だけを考えればいいのでしょう。しかし、「どのような政治が行われるか」を考えると、重要なのはむしろ「全議席数に対する、自民党的政治を行う議員の比率」になるのでは、と思っています。

政権選択?」への5件のフィードバック

  1. 郵政民営化が争点なのではない

          ごまめの歯ぎしり メールマガジン版   河野太郎の国会日記 2005年8月12日号 =================…

  2. OONOさん、お久しぶりです。
    全く同感です。
    拙いエントリーですがTBさせていただきました。
    「民主」への政権交代こそ唯一残された道・・・という声ばかりが目立つし、果ては選挙協力しない(出来るわけがないんですが)共産党への八つ当たりまで出てくる始末です。
    いつもながらすっきりとした論調で、見事に腑に落ちます。

  3. PPFV様>
    ご無沙汰しております。
    こちらこそ、いつも勉強させていただいております。
    「改革」に関してもそうですが、「非自民」というだけで民主党に期待、という論調にも本当に閉口した選挙戦でした。
    まあ、政・報が協力しての「情報戦略」がいかに巧妙かという事なのでしょうが・・・・。
    今後とも、よろしくお願いいたします。

  4. ■「私たちは選び直せる」この瞬間に国民主権を語る 平和憲法 マガジン9条ブログ

     マガジン9条ブログの最新エントリー 「私たちは選び直せる」は議席の上で3分の2を政権与党が占めた現在、平和憲法を守る上で指針とできる内容を含んでいると思います…

コメントは停止中です。