JR的思考の象徴

 2005年4月に発生したJR西日本福知山線の大惨事の責任を取って辞任した役員が、関連会社の社長などに天下っていた事が判明したそうです。
 中には、経営方針に「稼ぐ」を挙げるなど、大惨事発生の原因になったとも言える人物も含まれているそうです。100人を越す人命を奪った「責任」が、「1年間休んだ後に天下り」なわけです。JR西日本の「責任感」がよく分かる人事と言えるでしょう。

 その一方で、1987年のJR発足時に不採用となった職員の労働問題は、20年近くたった今でも解決していません。労働委員会や裁判所で何度も不当労働行為であるという認定がなされているにも関わらず、JRはかたくなな態度を取っています。
 このJRに不採用になった当時の国鉄職員は、運転事故を起こして死傷者を出したなどの理由で対象外になったわけではありません。原因はだだ一つ、「分割民営化に反対する労働組合に所属していた」という事だけです。同様に、JRに採用はされたものの、能力があっても所属労働組合のために社内で差別的扱いを受けている社員もいます。
 社の方針に反対すれば、公的な命令を無視してでも20年間不採用を続けるわけです。その一方で100人以上死者が出るような経営方針を策定・執行しても1年で「天下り」ができるわけです。JRの体質が非常にわかりやすく現れている「人事」と言えるでしょう。
 このような経営感覚では、今後も人命に関わるような事件がJRからなくなる事はなさそうです。