北朝鮮ミサイル基地を先制攻撃したい人々

 北朝鮮がミサイルを発射した事に対して、「そのミサイル基地を日本から先制攻撃すべし」という意見が自民党政府の高官や一部全国紙などから出ています。中には「金総書記に感謝」と冗談を言った閣僚もいたそうです。
 政治業者・情報産業とも、「ミサイル基地攻撃」という名前の戦争をやりたいという本音が抑え切れなくなっている、という感じです。それほど彼らにとって「戦争」というのは魅力的なものなのでしょう。
 確かに、自分たちの指示や報道によって自衛隊員や煽られた国民が動くわけです。そして自分たちは安全なところにいて、彼らが命を失うさまを見て、「この失われた命のおかげで今の我が国が成り立っている事を忘れてはならない」などと言えばいいわけです。
 ちょうど時を同じくして、「テロ対策」などと言ってイスラエルがレバノン人を虐殺しています。しかしその「効果」は「テロ組織」のミサイル弾などによる反撃でしかありません。そのため、イスラエルの一般市民も死んでいます。しかしながら、攻撃を命じるイスラエル政府の閣僚の所にはその弾は届きません。

 北朝鮮のミサイル基地を自民党政府が攻撃しても同じ事でしょう。反撃のミサイルで日本の一般市民は生命の危機にさらされますが、政治業者の安全は厳重に守られます。新聞社も同様です。考えてみれば、60年ほど前に、あそこまで露骨に「大本営発表」という名の虚報で国民を欺き、また洗脳するような記事を流したわけです。それだけの事をやりながら、どの大新聞社も占領軍の意向もあって潰れませんでした。そして今、かつてと同じように戦争を煽ろうとしているわけです。
 「A級戦犯」の一部だけが死刑になったものの、それ以外はそのまま政権に復帰した政治業者も同様なのでしょう。ましてや今度はアメリカと組むわけですから、いくら自衛隊員や国民が死のうと、自分たちの責任が問われる可能性はより低いわけです。
 だからこそ、「冗談」混じりに「ミサイル基地攻撃」などと言えるわけです。

 私は「物事を暴力で解決する」という行為自体を否定しています。したがって、それを最悪の形で発露される「戦争」にも当然反対です。とはいえ、安全な所で「冗談」交じりに、日本人をはじめ、北朝鮮人さらには韓国人の生命や生活を危機におとしめようとしている輩を見ていると、「ならば自分でやりに行けば」と思ってしまいます。
 政治業者なり情報産業の幹部なりが、自ら北朝鮮に行って、ミサイル基地に行くというならば、賛成はできませんが、まだ彼らの主張を理解する気はおきます。しかし、今の安全な所から発せられる彼らの言動から感じるものは、60年ほど前に、多くの日本人さらにはアジア人を死に至らしめた当時の政治業者や情報産業から感じるものと何ら違いがありません。