「野党の政策には財源が示されない」という誤情報について

 日本共産党を含む野党に対する、商業マスコミが行う批判の定番が二つあります。
 一つは「野党は批判ばかりで対案がない」で、もう一つは「野党の政策には財源が示されていない」です。
 筆者が子どもの頃、初めて新聞を読んだ頃から、使われ続けている言葉です。
 しかしながら、この言説は事実に反しています。
 今回はその二つの誤情報のうち、「野党の政策に財源が示されていない」がいかに間違っているかについて説明します。

 たとえば、一昨年の参院選で日本共産党が掲げた政策です。このように、具体的な方策と、それによって生じる歳入を計算して示した上で、日本共産党の主張する政策の財源を示しています。

 一方、政府与党はどれだけ財源の事を考えているのでしょうか。
 その象徴とも言えるものに、有償軍事援助(FMS)というものがあります。
 これは、アメリカ政府が売ろうとしている兵器をアメリカ政府の言い値で買わされる、という制度です。
 もちろん、アメリカ政府は、その際に、日本政府の財源など計算はしません。ただ、自国ならびに兵器産業の都合にあわせて売りつけているだけです。
 それに対し、日本政府が、「財源が捻出できないからお断りする」と言った事などありません。
 日本で暮らす人の安全には何の役にも立たない高額兵器を、日本で暮らす人達が納めた税金を湯水のように使って購入しているわけです。
 そして「財源」が不足したと感じたら、消費税増税や年金・医療を切り下げ、そのツケを日本で暮らす人の生活を悪化させる事によって賄っているわけです。
 自公政権はこれを長年続けてきました。彼らにとっての「財源」などその程度のものなのです。
 そして、御用マスコミに「野党の提案には財源の裏付けがない」などという事実を正反対に描いたフェイクニュースを流させているわけです。

 実際、多くの人がこのフェイクニュースに騙されています。
 筆者が2018年夏に、稲毛のイオン前で千葉市小中学校普通教室にエアコンを設置するための署名運動を行っていたら、見知らぬ人に「財源はどうするんだ」と声をかけられた事がありました。
 そこで、「総額で約70億円かかりますが、千葉市の一般会計予算は4,000億円です。四年計画で行えば、年額18億円弱ですから、十分財源はあるのです」と即答した所、「そういう事はもっと宣伝したほうがいいよ」と捨て台詞のように言われて去っていった、という事がありました。
 この人が何者だかわかりません。しかし、このような運動をしている人なら、財源についての認識もあると考えるのが普通です。
 にも関わらず、こんな事を言ってきたのは、「権力を批判する人たちは、財源について考えていない」という誤った認識を商業マスコミなどに刷り込まれている、という事なのでしょう。

 「権力を持つ側が財源について考え、野党側は財源を考えていない」というのは、事実と180度異なっているフェイク情報なのです。
 テレビや新聞などで「野党は財源の事を考えていない」などという主張を見たら、それだけで、その論者は信用できない、と判断しても間違いはないでしょう。