カテゴリー別アーカイブ: 教育

自分たちへの「愛」を強要する法案

 教育基本法改悪案を自民党が出し、民主党も本質的に変わらない「対案」を出しています。いずれにせよ、結局のところ、彼らの目指しているのは、現在、自分たちが構成している自民党政府の維持・発展に適した形で子供達を「教育」できる体制作りです。そして、その象徴と言えるのが、「我が国と郷土を愛する」すなわち「愛国心教育」なわけです。
 一連の「愛国心」に関連して、少なからぬ自民党政治業者が「教育勅語の再評価」みたいな事を言っています。最初の頃は、「戦前の愛国心とは違う」みたいな事も言っていましたが、最近はそれすら言わなくなりました。
 戦前教育の成果である「愛国心」で「愛」の対象となった「国」というのは、一般の日本人たちでも、日本の自然環境・生活環境などではありませんでした。「愛」の対象は絶対的存在である天皇であり、同時に、その天皇の下で権力を得ていた天皇制政府の面々でもありました。その結果、「天皇陛下のため」に戦地で殺し・殺されていった「愛国者」たちの屍の上で、政治業者たちは権力を守り、それと一体化していた旧財閥なども利益を挙げたわけです。
 そして、そのような時代を懐かしむ政治業者たちによって、「愛国心教育」が復活させられようとしているわけです。

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中国の反日デモ報道から伝わるもの

 先週末あたりから、中国で反日デモが過激化している、と報じられています。教科書問題など日本側にも非があるとはいえ、大使館への投石や日本人留学生を殴打するなど、暴力で意見を主張する、という行為は断じて賛成できません。
 ところで、このデモに関する日本側の報道を見ていると、二つほど興味深い点が見受けられます。一つは、中国の高官の発言や、大使館周辺の警官の言動を元に、「中国側がデモを扇動している」というような書き方をしているところです。その一方で、「報道管制をしいて、この件は一般市民には伝えないようにしている」とも報じています。
 中国政府が「反日行動」を拡大したいのなら、都合の悪い部分は隠して「愛国者たちのデモ」と報道させればいいだけですし、逆に収束させたいのなら警官に厳しく取締らせればいいわけです。いずれにせよ、ちょっと矛盾しています。もちろん、巨大な官僚組織ですから、それぞれの部局に思惑があって、矛盾した行動を取っていると考えるべきなのかもしれません。しかしながら、一つの記事に「中国政府を糾弾する」という点を除けば矛盾している情報を載せるというのはどうなのでしょうか。

 ところで、「大規模デモを報道しない・させない」という事を日本のマスコミは中国ならではの事であるかのように報じています。
 しかし、日本でも似たような事は最近になって増えています。2年前のイラク戦争の時の反戦運動しかり、九条の会の活動しかり、商業マスコミでの扱いは良くてベタ記事程度。黙殺する事も少なくありません。特に、好戦・九条改悪派の会社ほど扱いが小さくなる傾向にあります。
 こういうのを見ていると、公然と国家の統制を受けている中国のマスコミと、「権力を監視する」と自称している日本のマスコミの違いについて、考えさせられてしまいます。

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どのような思想形成に役立つ教育?

 中山成彬文部科学大臣が、競争は悪だとしてきたが、社会に出ると競争社会で子供が落差に戸惑う。こういう今までの教育は、ニートなどの予備軍の『大量生産』に手を貸しているのではないかと発言しました。
 しばらく前には、この文科相の所属している派閥の長が、カネさえあれば何でもいいんだ。力ずくでやれるんだという考え方は日本の教育の成果かと(疑問に)思うと発言していました。
 就職しない(できない)のも、大金を稼いで株を買うのも、「戦後教育のせい」だというわけです。この二つを関連づけるのはかなり難しいと思うのですが・・・。個人的には、何でもかんでも「戦後教育のせい」と言い放てるような人たちを養成(?)している、自民党の党内教育のほうが問題なのでは、と思う次第です。

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