なんでもかんでも戦後教育のせい?

 数日前の日経新聞一面で、教育問題に関する連載が始まりました。「財界の広報紙」としては当然ながら、自民党政府の行おうとする教育基本法「改正」を全面的に支持するような内容となっています。
 そのため、さまざまな子供周囲の「乱れぶり」を報じ、その原因は「戦前の修身教育の反省から、戦後では道徳教育が軽視されたから」というように論じています。もちろん、「ではなぜ、戦前の『修身』は見直しを受ける事になったか」という理由については一切論じていません。

 というわけで、いかに「戦後教育のせいでこうなったか」というのを並び立てるのですが、その第1回の冒頭に出てくるのは「女子中学生がトイレの中に化粧品を置いていた」などと言うものでした。確かに、日経新聞の読者に、「最近の若者がいかに乱れているか」を宣伝するには適切な材料かもしれません。
 しかし、それと「教育」に何ら関係があるのでしょうか。別にどんな教育を受けてようと、トイレが汚ければ顔につけるものを置く気はおきないでしょう。ただ単に、トイレが化粧品を置けるほどきれいになった、というだけの話です。
 ほかにもいろいろ挙げていました。しかし、「戦後教育の問題」どころか、「教育」の範疇でないような事例まで挙げていました。
 この論法でしたら、戦後生まれの人が行ったどんな事でも「戦後教育のせい」とできてしまいます。それこそ、「タウンミーティングで世論をねつ造するような事をやる役人がいるのも戦後教育のせいだ」などというのも成り立ってしまうでしょう。

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