「いじめ」の存続を認める政党

 首相は代わりましたが、相変わらず自民・公明政権は九条改憲を目指しています。
 「九条を変える理由」としてよく報じられたのは、安倍前首相が一度ならず言った「自衛官の子どもが学校で、『憲法違反』といじめられた。それをなくすためにも九条を変える」でした。
 また、改憲とは話が異なりますが、自民党は選択式的夫婦別姓に反対を続けています。その理由として挙げられるものに「両親の姓が違うと、子どもが学校でいじめられる」というのがあります。
 この論法の通り、自衛官や別姓カップルの子どもがいじめられないために憲法九条を変えたり、選択的夫婦別姓を否定するのは正しいことなのでしょうか。

 もちろん、こんな主張は完全に間違っています。
 どんな理由であれ、子どもが学校で「いじめ」を受けること自体が、そもそも許されない事です。
 必要なのは「いじめ」をなくす事であり、憲法九条を変える事でも、選択的夫婦別姓を否定する事でもありません。

 自民党の論法を整理すると「いじめを無くすことはできない。そして憲法九条や選択的夫婦別姓によって子どもがいじめられる。だから憲法九条は変えるべきで、選択的夫婦別姓は認めるべきでない」となるのです。
 この論の大前提は「いじめを無くすことはできない」です。したがって、この世から「いじめ」がなくなれば、この九条改悪論も選択的夫婦別姓否定論も崩壊します。
 「いじめ」は重大な人権侵害です。また、それによって多くの子どもが自ら命を絶ちました。
 さらに、この学校での「いじめ」は、そのまま大人社会に持ち込まれています。それが、この日本の異常なパワハラ・セクハラに代表される「社会人いじめ」を生み出しているわけです。
 そして、セクハラやパワハラの防止ガイドラインが作られますが、自民党政権は、その条件の緩和を行ってきました。つまり、セクハラ・パワハラの成立要件を厳しくし、ハラスメントを行う輩に配慮したわけです。
 これも、「いじめは無くならない」という自民党の考えと繋がっています。

 今でも多くの人が、学校や会社などでの「いじめ」で心身に深い傷を追っています。その結果、自ら命を絶ってしまった人も多々います。
 しかしながら、現存する「いじめ」を容認する自民党が政権についている限り、このような悲劇はなくなりません。
 言い換えれば「いじめ」を根絶するには、自民党とその補完勢力が政権から降りてもらうのが必要である、となるわけです。